「ブッシュ」、「ボール」とは
ボールベアリングタービンが発売されてから、それでまで一般的だったブッシュタービンとの比較が盛んに言われています。「ボールベアリングはレスポンスに優れている」、「ブッシュタービンはトルクがフラットで扱い易い」・・・・色々言われいます。
※ボールベアリングタービンの最大の利点は排圧に強い高ブーストに耐えられる、排気ハウジングのA/Rが小さい物が使える、ドリフト向き!?
※ブッシュタービンはメンテナンスが楽。オイル量が確保されていれば充分、水冷にしなくても一応使える。コーブーストに弱い、排気ハウジングのA/Rが小さい物は要注意
最も重要な事は「同じ物で比較」
両者を比較する時に最も問題になるのが、コンプレッサーホイール、タービンホイールが全く同じ物で比較しているかという点です。
一番比較されるのが、「GT-BB」と「TD」ですよね。例えばGT2835-56Tとこれに最も近いと思われるTD06あるいはT517/518。
コンプレッサーホイールを見ていきますと、2835-56Tのコンプレッサーホイールのサイズは53.1/71.1、20Gは52.6/68.0、518は50.5/68、羽根の枚数はどちらも6/6、形状も大変良く似たバックワードタイプです。ところが、排気のタービンホイールを見てみますと、2835は56.5/51.8に対しては06は65.0/55.3、TD05Hは56.0/49.1。羽根の枚数は2835は10枚に対してTD05とTD06は12枚。2835は約15度のカットバックが入っていますが、TDはカットバック無し。更に羽根の高さは全く違いますし、羽根のコンターカーブは全く違います。
これは両者の設計された時代、目的が全く異なっている為です。
GTの方が後に設計されています。排気側のホイールがこれだけ大きく違いますと、「パワーの出方」、「トルク感」、「レスポンス」は大きく違ってきます。
つまりこの両者を直接比較する事は不可能であり意味があまりありません。
唯一気軽?に直接比較できるケースがある
それはIHI製のVF36とVF37です。この両者はインプレッサのGDBに純正装着されているタービンです。コンプレッサーホイール、タービンホイール共に全く同じ、排気ハウジングのA/Rも全く同じ。つまり軸受け以外は全く同じです。VF36はボール、VF37はブッシュです。これを乗り比べた人がいますが、ブッシュなのかボール全く分からなかったそうです。レスポンスも全く変わらなかったそうです。
高価なボールベアリングタービンを買う意味はない?
実際、単体パーツの金額で言いますと、ボールとブッシュでは、一桁ほどボールが高価ですし、精度が要求されます。それでもボールベアリングタービンを使う意味は何でしょうか?
それは、排圧です。ブーストがかかっている時、タービンの軸(シャフト)は常に排気側から吸気側に押されています。排圧とは排気ハウジングの内部の排気ガスが排気の羽根にあたる前の圧力です。
TDタービンの排圧による破損!!
その対策として、ブローオフバルブは容量のある物を装着する。”
先端のナットは「今迄の砲弾型を通常の6角ナットに変更」だそうですが、、、本当にそうでしょうか?
ノーマルの鋳造に比べ堅く、軸がスラスト方向に動きコンプレッサーホイールがコンプレッサーハウジングに干渉した場合、ノーマルの鋳造であれば柔らかい為に羽根が削れながらもタービンは回転しますが、堅い鍛造の場合は、ハウジングに当たった段階で羽根はハウジングに食い込み・その場で止まろうとします。
排気側の那根、軸は未だ回転していますので、コンプレッサーホイールの先端に接触しているナットが緩むと考えられます。
- 排圧が強過ぎてタービンシャフトが吸気側に動き出す。
- スラストベアリングの限界を超えてシャフトが吸気側に動く
- シャフトが動く事によりコンプレッサーホイールがコンプレッサーハウジングに干渉する
- コンプレッサーホイールがコンプレッサーハウジングに干渉し、
コンプレッサーハウジングにその場で急激にブレーキがかかる - タービンホールシャフトは未だ動いている為、コンプレッサーホイールの先端のナットが緩む
上:新しい部品 下:摩耗した部品